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戦争思想は国を危うくする

自民党の高村氏は、「民進党は空想的平和主義」と「交詢社オープンフォーラム」(産経新聞社後援)で講演した。だが高村氏の弁護士としての資質は危ういものと云わざるを得ない。産経新聞も提灯を持っているが、1回新宿の街頭で説明してみられたらいかがか。

いま民進党が掲げる安全保障政策は、従来の歴代内閣見解、内閣法制局見解を踏まえ、その範囲内で自国の防衛を慎重に行なおうとするものだ。これが空想であるなら、戦後70年の自民党政権下で行なわれてきた安全保障政策の全てが空想ということになる。

具体的には、日本の防衛出動(自衛)は、あくまで「自国に攻撃があったとき」に必要最小限に行なうという趣旨だ。集団的自衛権は、歴代内閣で「違憲」とされてきた。
高村氏本人も同趣旨の見解を過去に話している。
昨年の審議では、外的環境の変遷を理由にしたが、ならば正式な改憲手続きを要すということになる。

それをやらず、解釈で改憲するという無法を強行し、制定されたのが「安保法制(安保関連法)」である。
この無法は、既に「安保法制違憲訴訟の会」において提訴されており、自民党の誰もがこれに反論していないどころか沈黙を決め込んでいる。

さかんに日米同盟を喧伝するが、安倍首相が勝手に米国議会で演説しただけで、我々主権者に説明されたわけではない。自民党は、以前よりキャラバンなどで全国を行脚し、丁寧な説明を行なうと話していたが、それどころか秋の臨時国会さえ開かず沈静化を図った。何か本紙の認識が間違っているなら、産経新聞は社説で反論してもらいたい。

既に安保法制は、訴えられており、その加害行為者は「閣議決定した国務大臣並びに議決した国会議員」である。
選挙では、街頭に出るだろうがプラカードが待っているだろう。
怒っているのは民進と共産だけではない。
社民も生活もそして全国1300万人もの市民が署名し立ち上がっている。
この人たちが、選挙で安保法に反対することは確実だ。

我々は、安保法制を通じ、歴代内閣並びに内閣法制局見解を読み、日本に改憲の必要性はないことを確認した。
同時に、それらの整合性から、また日本の米軍基地を縮小する方向も見出すことが出来た。

日本から基地を縮小し、再編を行なっていくのが、もっとも良い安全保障政策であり、世界中で米軍の後方支援を買って出るのは、本質的に間違いだ。むしろ拡大する展開にはカネがかかり、防衛費の肥大化に日本の予算は耐えられない。そうなれば社会保障はますます厳しくなる。

政策として、いまの日本の専守防衛は決して高村氏がいうような「空想的平和主義」ではなく、より現実的な国益に資するものと判断している。過去、旧ソ連はアフガン戦争を10年戦い、国が疲弊し、破たんしてしまった。

米国はアフガンのみならず、イラク戦争を15年戦い、米国内では遠征費問題ばかりではなく、帰還兵問題が社会問題化するに及ぶ。
いかにベトナム戦争のように終わらせることができるかが問われていると云えよう。

我々はそのように米国に云いたい。
決して「空想的平和主義」などではない。
「やめる」という決断は容易ではない。
だが、いまの米国に必要なのは、立て直しであり、その決断を促すことが最善である。



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